農場の紹介

私たちいなほの特徴は、持続可能な自然循環型の農業を実践していることです。

農場全体で見ると、養鶏で出た鶏糞ともみ殻を発酵させた堆肥を肥料として田んぼや畑に利用し作物を育てます。

そして収穫物の一部を鶏や豚の飼料に利用しています。

以下に具体的にご説明いたしますように、稲作、養鶏、養豚が有機的につながる生産方法です。

農薬・化学肥料不使用栽培の米

ササニシキ、ひとめぼれ、たきたての3品種を、できる限り農薬や化学肥料に頼らない方法で栽培しています。

 

土と植物が本来持つ力を活かし、生命力の強い稲を育てることでおいしいお米作りにつながります。

 

米作りの特徴の一つは、有機物の発酵を利用した土作りと肥料作りにあります。

 

農場内の平飼い鶏舎にはもみ殻を敷き詰め、鶏糞が混ざることで堆肥の原料ができます。

 

これを微生物(好気性菌)の力を借りて発酵させ良質な堆肥を作り、田んぼに散布します。

 

また、元々田んぼに存在する有効菌も働いて、良い土壌ができます。

米作りの二つ目の特徴は、ポット式育苗と疎植の田植えです。

 

ポット式とは、長方形の枠の中に直径1.5cm深さ2.5cmほどの穴が並んでいる苗箱で、1つの穴ごとに数粒の種籾が播かれ芽を出します。

 

1つの穴の苗がそのまま田植機で移植される形になるので、根を切ることがなく丈夫な苗が育ちやすくなります。

 

疎植とは、田んぼに苗を移植するときに感覚を広く取る方法で、1本1本に良く日が当たり病気に強い養分を良く吸収する苗に育ちます。

 

そして収穫の時期が来たら、米の品質を保つため適期を逃さないよう刈り取ります。

 

安心・安全はもちろんお米のおいしさにもこだわり、「量より質」の米作りをしています。

平飼い養鶏の卵

養鶏は平飼いの鶏舎で、鶏が自由に動き回れる環境にしています。

 

与えるエサは市販の配合飼料を使わず自家配合で、朝は玄米やかき殻等を粉砕した飼料、昼はゆでた大豆、朝と昼の間に青菜を与えています。

 

これらの飼料の原料は、私たちの農場もしくは近隣地域の農家から出た選別後の規格外農産物を直接引き取ってくるものです。

 

こうした飼養方法は大変手間のかかることではありますが、鶏はストレスの少ない環境と良質なエサで育つため、殻の丈夫な白身の張りがとても良いおいしい卵ができます。

 

黄身の色は淡い自然な黄色で、スーパーで買う卵のようなエサで着色した濃い色ではありませんが、当農場の卵を長くご購入いただいていると、すっかりこの優しい黄色が気に入ったとおっしゃるお客様も多くいらっしゃいます。

卵の黄身の色についてもう少し補足しますと、濃いオレンジ色の方が栄養価も高く、おいしいと思われている方が多いと思います。

 

ですが、黄身の色の濃淡は鶏が食べるエサの色素に由来するものなので、黄身の色の違いによって含まれる栄養が大きく違うということはありません。(JA全農たまごのQ&Aより)

 

一般に鶏の配合飼料には黄色の素になるとうもろこしが多く含まれていて、より黄身の色を濃くするためにパプリカなどを混ぜることもあります。

 

当農場の鶏は、そのどちらも含まないエサを食べています。

 

エサの好みには鶏の個体差もあり、一つ一つの卵で黄身の色の濃淡に多少ばらつきが出ますが、それも自然養鶏の特徴と言えます。

 

張りの良い白身は弾力があり、新鮮なうちにメレンゲを使うケーキなどを作ると違いがわかります。

 

クセのないやさしい味わいの毎日食べていただきたい卵です。

放牧養豚の豚肉

私たちは代々の米農家ですが2016年3月より新たに放牧養豚を開始しました。

 

なぜ放牧養豚なのか?

その理由は様々ありそれがこの放牧養豚の特徴にもなります。

 

まず一つ目は、平飼い養鶏に使用している自家配合のエサの原料である良質な穀類や野菜、大豆等は宮城県北地域から調達ができ、その原料を使って養豚用のエサも当農場独自のものが作れると考えました。

 

特にこの地域でも飼料用米が生産されていますので、玄米を多く含む国産の良質なエサで飼育することが可能です。

 

二つ目は、豚の飼育環境についての配慮です。

 

家畜を飼うということに対してはどうしても匂いや騒音といった問題がイメージされると思いますが、それらの問題を最小限に抑え、豚にとってもストレスが少なく周囲の環境にも負担が少ない方法で豚を飼育したいと考えました。

 

そのため放牧場は充分な広さを確保し、豚が自由に動き回り好きな時にエサを食べ休めるようにしています。

三つ目は、自然循環型農業を取り入れ地域の農地を有効に活用したいと考えたことです。

 

豚の放牧場にはもちろん豚の排泄物が出ます。

 

この匂いを抑え次にこの土地でそのまま肥料として使うために、微生物の働きを利用し分解・発酵させ堆肥にします。

 

放牧場として1シーズン利用した土地は、元の畑または田んぼとして利用し作物を育てます。

 

農家の高齢化が進み耕作されない農地が増えることが予想される中、地域の農地を荒れさせない方法の一つになると考えています。

 

このように放牧養豚に取り組もうと考えた理由は様々ですが、良い環境とエサで健康な豚を育てその結果とても質の良い豚肉ができあがりました。

 

一般のお客様にも、プロの料理人の方にも、「脂が甘くて肉のうまみがしっかりしている。くさみが無くてしつこくない。」と好評をいただいています。